事業を加速し持続可能なモデルに成長させる。 茨城県北ビジネススクール2021 第4回目は資金調達のために必要なことを学ぶ!
茨城県の県北地域から起業家を創出することを目的として始まった「茨城県北ローカルベンチャースクール」は、昨年までの3年間で、県北地域を舞台に起業家人材を育成・支援するプログラムとして実績を生んできました。
今年度は、より規模の拡大や事業の加速などを目指し、ビジネスを学ぶためのプログラム「茨城県北ビジネススクール」にパワーアップ。
第4回目は2021年9月26日(日)、ゲストにFull Commit Partners 代表パートナーである山田優大氏をお迎えし、茨城県三の丸庁舎にて開催しました。
ゲスト:
Full Commit Partners 代表パートナー
山田優大
2011年グリー入社。国際基督教大学 教養学部卒。社長室にてオリンピック協賛等のコーポレートブランディングや管理部門の予算管理、投資案件のデューデリジェンス等を担当後、財務戦略部にてIR、子会社事業管理へ従事。2016年インキュベイトファンドへ参画、アソシエイトとして新規投資先発掘、投資先バリューアップ、人材採用支援等を担当。2018年5月にFull Commit Partners創業。[HP]
講座のスタートは、グランドルールとして「①守秘義務・②批評家にならない・③ファーストペンギンを称賛する・④質問は手を上げてから考える」を共有した後、3人1組で「①名前・②今の気持ち・③今日期待すること」をシェアするチェックインを行いました。
その後は、ゲストである山田優大氏の講演からスタート。自身のプロフィールや実行した投資先を紹介した後、様々な企業への投資経験がある山田氏から “資金調達のために創業時必要なこと”をテーマに講演していただきました。投資家との接点がまだ少ない受講生の中には、“投資家=怖い” という印象を持っていた方も多いようです。山田氏は、自身の会社のビジョンを「①起業家First・②斬新に、誠実に・③当事者であれ」であると説明。企業に自ら入っていき、営業や採用に関わる姿勢や、山田氏の優しい口調に、投資家に対する印象が一気に変わります。
プロダクトで実現する未来を熱く語る
山田氏は、まずピッチブック(事業説明資料)に必要な10項目を掲げ、これらによって “ストーリー” と “可能性” をどこまで相手に伝えられるかが重要だと話します。
また、 “長い” “字が小さい” “プロダクトがわからない” というありがちなミス3つを挙げ、「スライドは20枚以内で長くても15分以内。課題や解決策・起業背景にフォーカスし過ぎずに、プロダクトで実現する未来を熱く語ることが大事。」と説明。
受講生全員、メモを取る手が止まりません。
そして、特に大切なポイント3選として、「①創業ストーリー・②なぜ今なのか・③勝てる仮説と戦略」を紹介。自身の投資先を例に掲げ、一生ブレない意志や勝てる事業構造・経営者の熱意や粘り強さ・「スタートアップ」として勝てる戦略があるか等、投資を決定する上で着目している部分を詳細に説明いただきました。
投資も大事なのは人。
その後、受講生からの質問への回答として、成功する起業家の共通点は「諦めない・思考を止めない・人を惹きつける」ということや、投資の最終決断時に一番大切にしていることは「ご飯を一緒に食べに行き、お互いの人生を語り合う。そこで失敗しても後悔しないか判断をする。」などがシェアされました。
話を聞いた受講生からは「いろんなタイプの投資家がいて、VC(ベンチャーキャピタル)は必ずしも怖くないと分かった。」「人として好きか、信用できるかが重要なポイントだということが分かった。」「投資も利益優先ではなく、人優先なんだと知ることが出来た。」などの声があがりました。
続いて、山田氏と齋藤潤一氏(一般財団法人こゆ地域づくり推進機構 代表理事・NPO法人まちづくりGIFT 代表理事・AGRIST株式会社 代表取締役社長)によるトークセッションを開催。
大切なのは解像度。考え抜くこと。
齋藤氏は、「投資家は起業家を一番応援する人。応援したい人を探している。」と言います。「普通のVCにはなりたくなかった。自分は経営の中に入ってきて欲しい人と一緒にやる。」という山田氏。
2人は共通して「人として関わっているからこそ、金額や条件での選択ではない。大事にするべきは運と縁で、経営者として人間力は重要。」と話します。
さらに、想いはあるのに行動しない人がほとんどである事に話題は及び、山田氏も「想いだけの人にはなかなか投資していない。どう行動したか?そこで失敗ストーリーを持っているからこそ、投資したいと至ったりする。」と振り返ります。
齋藤氏から受講生に「想いはあるのに踏み出さない理由は?」と尋ねると、「家庭の収入と時間のバランス」「どう動き出したらいいかわからない」などの声が上がり、「投資を決める際は事業にフルベットできる環境かどうかまで共有する。それが難しければ、融資など他の選択肢もある。公庫など、まず小さく動き出せる選択肢はたくさんある。」と山田氏からアドバイスがありました。
また、「(山田氏が)重要視しているのは解像度が高いかどうか。プロトタイプができていなくても解像度が高ければいい。重要なことは考え抜ききれているかどうか。」と続けました。
心を燃やせ
「本気で楽しんでいる人には勝てない。」という齋藤氏。そして、トークセッションの最後に山田氏から贈られたのは、「起業は超大変。中途半端にやって失敗して欲しくない。そのために考え抜いて行動して欲しい。“鬼滅の刃”の一節の言葉、“心を燃やせ”。起業家が楽しんでいるのはまさに心が燃えている状態。その熱が投資家にも伝わり、応援したくなる。」というメッセージでした。
その後は、希望した受講生6名による1分間プレゼン(ピッチ)。「常陸大宮市特化型の動画配信&EC販売」「栗蒸し羊羹で笑顔の循環を」「持続可能で多様性ある農業社会を(農業M&A)」「うずまきタスク管理ノート」「スパイスビーガンカレーを世界に届ける」「生産者と消費者を繋げる農業ゲームアプリ」
山田氏からのフィードバックとして、「これからやっていきたいこと(プロダクト)をきちんと語ること。」「ピッチをどんな人にどういう目的でやりたいのか。」「他社との違いはどこなのか。」「成長している似たような事例はあるか。」「助けたい層を複数打ち出す事によって事業が小さく見えてしまう。」などの問いが投げられ、発表者だけでなく全員が自身のビジネスに置き換えて考えることができる多角的な目線に、貴重な時間となりました。
講座の終わりに山田氏から受講生に贈られたエールは、「熱量は資料・言葉の節々に宿り伝わる。心が燃える状態を大切にして欲しい。」という言葉でした。
リアルな投資家の声に、たくさんの学びと刺激を得た第4回講座。
講座時以外もお互いにプレゼンをブラッシュアップしながら、受講生は最終プレゼン目指して進んでいきます。
最終講座は12月4日(土)。
受講生の中から選出された8名が、投資家・起業家の前でプレゼンします。
どうぞお楽しみに!
イベントページはこちら↓
https://ibaraki-kenpoku.com/?page_id=73226
ライター・撮影:宮地 綾希子