e-Educationの創業者・税所 篤快氏による講義ー起業家育成・第3回茨城県北ローカルベンチャースクール開催
茨城で次代を担う起業家育成に取り組んでいる、茨城県北ローカルベンチャースクール。第3回目となる講義が、2018年10月13日に茨城県日立市「うのしまヴィラ」で開催されました。今回は、講師に「特例認定NPO法人e-Education」の創業者・税所 篤快さんによる講義と、参考プレゼンターとして参加した「株式会社文祥堂」山川 智則さんの新規事業立ち上げエピソードを伺いながら、受講生がビジネスプランを作成します。
今回で講座も3回目となり、そして海沿いの静かな場所とロケーションも手伝い、受講生は大変和やかな雰囲気でコミュニケーションをとっていました。ですが、いざ講座が始まれば真剣そのもの。起業を目指した大事なビジネスプランの作成へ向け、真剣に取り組む姿が印象的でした。受講生が高い熱量を持って取り組んでいた濃密な講義の模様をレポートします。
大学時代の失恋から、海外へ飛び立った起業家
今回の講師は、特例認定NPO法人 e-Educationの創業者・税所 篤快さん。税所さんは、早稲田大学在学中の2009年にバングラデシュへ渡り、映像授業「e-Education Project」を立ち上げるなど、数々の貧困地域で、教育支援事業などを立ち上げて来ました。税所さんはなぜ、e-Educationを立ち上げたのでしょうか。講義ではこれまでの実績や、そして「討死王」の異名を持つほど大きな失敗をしてきた過去が語られました。
大学生だった当時、付き合っていた彼女との別れ間際に「あなたが雑誌に載ることがあったら買う」と言われて。それで、海外で経験を積んで帰って来ようと決意しました。行き先を考えていた時に『グラミン銀行を知っていますか?(坪井ひろみ 著)』という本に出会います。この本は、バングラデシュにある貧困層を対象に、無担保の少額融資 (マイクロクレジット) を専門に行なっていたグラミン銀行を紹介していまして。
感銘を受けて、すぐさま友人とバングラデシュへ渡りました。そして、真っ先にグラミン銀行を訪問したところ「各地の村へ行って、『何をして欲しいか』というウィッシュリストを作ってほしい」と仕事を依頼されました。
税所さんはその仕事を通じ、バングラデシュでは教員の数が4万人も足りないという現状を知ります。大きな課題をどうすれば解決できるのか。税所さんは以前通っていた予備校の授業モデルを参考に、優秀な講師の授業を映像化して配布するアイデアを思いついたのです。
そこから税所さんは持ち前の行動力を活かし、協力してくれる講師を探したり、資金を集めたりと、実現に向けて奔走します。結果的に事業はスタートし、初年度から映像授業を受けた30人中17人が大学合格を果たしました。現在、この映像授業のモデルは中東・東南アジアなど、最大10ヶ国まで広がりました。
さらには、東アフリカにある未承認国家・ソマリランドにて若者の失業問題と向き合い、若者の働く場を作るための大学院(ビジネススクール)を設立し、時に暗殺予告(!)を受けながらも、起業家育成に取り組んだそうです。
(ここでは書ききれないほどの濃密な体験をしてきた、税所さん。その活動は書籍にもなっているので、興味のある方は手に取ってみてください)