事業を加速し持続可能なモデルに成長させる。 茨城県北ビジネススクール2021 第3回目は地域資源で稼ぐためのブランディング・マーケティングを学ぶ!
茨城県の県北地域から起業家を創出する目的として始まった「茨城県北ローカルベンチャースクール」は、昨年までの3年間で、県北地域を舞台に起業家人材を育成・支援するプログラムとして実績を生んできました。今年度は、より規模の拡大や事業の加速などを目指し、ビジネスを学ぶためのプログラム「茨城県北ビジネススクール」にパワーアップ。
第3回目となる2021年9月4日(土)は、茨城県三の丸庁舎にて開催。ゲストに一粒1000円となるミガキイチゴのブランディングといった実績を持つ岩佐大輝氏を迎えました。
ゲスト:
株式会社GRA代表取締役CEO
岩佐大輝 氏
1977年、宮城県山元町生まれ。日本および海外で複数の法人のトップを務める起業家。2002年、大学在学中にITコンサルティングサービスを主業とするズノウを起業。2011年の東日本大震災後は、壊滅的な被害を受けた故郷山元町の復興を目的にGRAを設立。先端施設園芸を軸とした「東北の再創造」をライフワークとするようになる。農業ビジネスに構造変革を起こし、ひと粒1000円の「ミガキイチゴ」を生み出す。 著書に『99%の絶望の中に「1%のチャンス」は実る』(ダイヤモンド社)、『甘酸っぱい経営』(ブックウォーカー)、『絶対にギブアップしたくない人のための成功する農業』(朝日新聞出版)がある。人生のテーマは「旅するように暮らそう」。趣味はサーフィンとキックボクシング。[HP]
講座はいつもと同様に、「①呼ばれたい名前・②今の気持ち・③今日に期待すること」を3人1組でシェアするチェックインからスタート。
何となく上手くいくではなく、仕組みとして上手くいく。
まずは、ゲストの岩佐氏のトークからスタート。
IT企業を立ち上げたのち、東日本大震災をきっかけに地元宮城県の地域活性化に貢献したいという想いに至った経緯や、オフラインだからこそ語られる話題で会場を盛り上げてくださいました。
岩佐氏は、「10のポイントで学ぶ構造優位を創る農業経営」というテーマでトークを展開。
「地域活性化のビジネスとして、何の目的でやるかは重要。自分は産業として育てて地域に還元したかったので、ゼロから1をつくった。」と話しました。その他にも、「(グローバル市場も含めた)市場規模・どこで売るのか?・勝ちパターンを知る・参入するビジネスのコスト構造を分析し特性を知る」など、ミガキイチゴを具体例あげながら解説。「地域活性化とは、地域にプライドをつくること。」これらは農業に限らず、地域でビジネスを興す全ての人にものすごく重要なポイントではないでしょうか。
「何となく上手くいく…ではなく、きちんと仕組みとして上手くいくようにする。」と、自身の経験を交えながら具体的な説明をする岩佐氏。「行動こそが、価値を生む。」というメッセージでトークを締めくくりました。
経営者は夢を語り続けることが大事
その後は、齋藤潤一氏(一般財団法人こゆ地域づくり推進機構 代表理事・NPO法人まちづくりGIFT 代表理事・AGRIST株式会社 代表取締役社長)を交えて、オフレコトークとして起業家が実際に悩んでいる部分を共有。
ミッション・ビジョン・バリューや、それぞれの現場・役割へのリスペクトの大切さについて語られ、「経営者は夢を語り続けることが大事で、いかに自身の心を疲弊させないかが大切。暗いオーラを纏わないようにすることが経営者の仕事のひとつ。」という言葉から、チームやパートナーとの関わりや信頼関係がいかに重要かを感じました。
(休憩時間も大人気の岩佐氏)
その後は岩佐さんへの質疑応答。
・ゼロからブランドを作っていく上で大事な部分は?
ーこめられた想いをきちんと言語化する。価値の上げ方はいろいろある。例えば、どこで売るかなど。ブランドが立ち上がるまでは、量よりもきちんとストーリーを作っていくことが大事。
・1粒1000円のミガキイチゴはどうして生まれたのか?
ー一般的なブランド論に倣って作った。どうしたら百貨店が1000円で売らざるを得ないのかを考え、その後卸しについて考えた。
・ビジョンをブラッシュしていく上で大事にしていることは?
ー自分自身がワクワクすること。
・なぜイチゴに拘ったのか?
ーマーケットプライスを考慮した。そして、地域の声を聞いたら1番の誇りがイチゴであり、経済的価値と情緒的価値が一致したのがイチゴだった。
・現地の方と最先端の技術をどうかけ合わせたのか?
ー大事なことは、それぞれ違った考えがあっていいということ。考え方・やり方は違うけど融和させると上手くいく、という多様性を創る。
・会社としての役割とNPOとしての地域を活性化させる役割
ーNPOは震災の復興を目的とした地域を盛り上げるための存在で、会社はしっかりと稼ぐための組織。当時副業はまだ認められにくかったので、ボランティアとしてNPOで活動ができたというメリットもあった。
・人間的信頼関係を作っていく方法
ー一緒に食事を繰り返し、信頼関係を構築していく。
さらに自身の活動は全て山元町を主語にしている。町の看板を背負って発信し続けている。
しかし地域に戻ってきた時、地域社会に迎合してしまうのではなくオリジナルであり続けることは地域を発展させるためには大事。
・農業体験をビジネスとすべきか、ボランティアにし続けるべきか
ー農業体験は儲かる。ただ、大事なのはあなた自信がどうしたいのか。
・災害をテクノロジーと結びつけられないか
ー社会問題はビジネスや政治の力で何とかならず取り残されているが、サステナビリティも同様。テクノロジーできちんと定量化すれば災害にも役立つと感じる。
・取り残されている過疎地域・小さな農地(ニッチな農業)をどう考えるか
ー労働工数の削減等、ソフトなテクノロジーを入れるべき。大事なことは、農業従事者自身にその地域で農業をやることが楽しいと思わせること。
・失敗や挫折との向き合い方は?
ー自身のきっかけは、社会の一員になっていないと感じて起業した。今でも挫折の連続。何かをスタートするのに遅すぎるということはない。
受講生によるプレゼンピッチ
講座の後半には受講生による3分プレゼン(ピッチ)を実施しました。前回の講座を踏まえ、“本当に自分は何がしたいのか” にフォーカスし、「高校生がリアルに投資をできるアプリ」「施設園芸の教育基盤をつくる」「持続可能で多様性ある農業社会」の3つの事業が発表され、受講生は岩佐氏と当スクールのメンターである髙橋美紀氏からフィードバックを受け取りました。
最後に、再び3人1組で学びのシェア。「地元を主語にして語ること」「自分自身がアウトプットできる機会が得られてよかった」「起業家になるには覚悟が必要なんだと実感した」「経営者になるのが楽しみになった」「ピッチできなかったことが悔しかった」など様々な感想が出ました。
ビジネスで地域を活性化し、地域のプライドをつくる岩佐氏の話は、これから地域でビジネスを興していこうとする人々にとって全てが重要なお話でした。
たくさんの熱いメッセージを受け取り、さらにビジネスの加速が期待される茨城県北地域。
最終講座は12月4日(土)。投資家・起業家の前での最終プレゼンとなります。
最後までどうぞ見届けてください。
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12月4日(土)は、受講生の中から選ばれた8人が、自身のビジネスを加速させるため、投資家・事業家にプレゼンテーションを行います。受講生にとってはここからがスタート。皆様の応援をお待ちしております。
▼イベントページ▼
日 時:2021年12月4日(土)14:00~17:30(受付 13:30~)
会 場:茨城県庁9階講堂 (茨城県水戸市笠原町978番6)
入場料:無料
定 員:100名(定員になり次第受付終了)
申 込:https://forms.gle/gqFGzcrXVBzcvYFb9
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ライター・撮影:宮地 綾希子