あなたのビジネスを加速させる! 茨城県北ビジネススクール プレ講座② ―課題解決ビジネスのつくりかたー
毎年、魅力的なローカルベンチャーを輩出し続ける起業家育成講座。
昨年までの茨城県北ローカルベンチャースクールが、今年から茨城県北ビジネススクールと名称を変え、よりビジネスを加速させ茨城県北を活性化させるべく、内容も講座数もバージョンアップします。
続々と挑戦者のエントリーが集まってきているこの講座ですが、2021年7月13日、今年度2回目となるプレ講座がオンライン形式で開催され、豪華ゲスト陣が課題解決ビジネスについて熱く語り合いました。
当日はzoomにて61人がトークに聞き入り、同時配信されたFacebook上でも68名がLIVE視聴しました。
Facebook配信のアーカイブはこちらからご覧いただけます!
初めに、主催である茨城県県北振興局より県北地域の現状と課題を紹介。県北振興チャレンジプランに触れ、これまでの取り組みや成果を説明しつつ、新たな挑戦者となりうる参加者へエールを送りました。
次にこのビジネススクールの総合プロデューサーである齋藤潤一氏(一般財団法人こゆ地域づくり推進機構代表理事・NPO法人まちづくりGIFT代表理事・AGRIST株式会社代表取締役社長)から、スクールの概要を説明。
卒業生等による起業家コミュニティへの参加・同じ熱量のある仲間と切磋琢磨して学べる環境・投資家などとのネットワークにより資金調達ができる環境・メンター制度によるバックアップ体制などの多くのメリットを紹介。
講師との距離の近さや過去の受講生の成長スピードなど、具体例をあげて説明しました。
さて、この日のゲスト講師陣はこちらの3名。(敬称略)
株式会社ボーダレス・ジャパン代表取締役社長
田口一成
1980年生まれ、福岡県出身。早稲田大学在学中に米国ワシントン大学へビジネス留学。卒業後、㈱ミスミ(現・ミスミグループ本社)を経て、25歳で独立し、ボーダレス・ジャパンを創業。現在、世界15カ国で40のソーシャルビジネスを展開し、従業員は1,500名、グループ年商は55億円を超える(2021年5月現在)。日経ビジネス「世界を動かす日本人50」、Forbes JAPAN「日本のインパクト・アントレプレナー35」に選出された。著書に『9割の社会問題はビジネスで解決できる』(PHP研究所)がある。[HP]
株式会社マザーハウス 代表取締役副社長
山崎大祐
大学卒業後、ゴールドマンサックス証券にエコノミストとして入社。その後、創業前からかかわってきた(株)マザーハウスの取締役副社長に07年に就任、19年から代表取締役副社長に。(株)マザーハウスは、「途上国から世界に通用するブランドをつくる」という理念の下、途上国にある素材や人材の可能性に光を当てたモノ作りを行う企業。21年3月現在、アジアの途上国6カ国でバッグやジュエリー等の工場・工房を運営、日本、香港、台湾で約45店舗の直営店を展開中。 加えて、17年より「思いをカタチにする経営ゼミ」を主宰し、経営者を中心に200名近い卒業生を輩出。また(株)Que社外取締役、日本ブラインドサッカー協会外部理事、その他、10社以上の株主などもつとめる。[HP]
一般財団法人こゆ地域づくり推進機構 代表理事
NPO法人まちづくりGIFT 代表理事 / AGRIST株式会社 代表取締役社長
齋藤潤一
米国シリコンバレーの音楽配信会社でクリエイティブディレクターとして従事。帰国後、2011年の東日本大震災を機に「ソーシャルビジネスで地域課題を解決する」を使命に全国各地の地方自治体と連携して地域プロジェクトを創出。これらの実績が評価され、2017年4月新富町役場が設立した地域商社「こゆ財団」の代表理事に就任。1粒1000円ライチの開発やふるさと納税で寄付金を累計50億円以上を集める。移住者や起業家が集まる街になり、2018年12月国の地方創生の優良事例に選定される。農業の人手不足の課題を解決するために、農業の自動収穫ロボットAGRIST株式会社を2019年設立。2021年までに国内10以上のビジネスプランコンテストで受賞。メディア掲載:テレビ東京「ガイアの夜明け」、NHK WORLD世界17か国で放送、日経MJ(1面全面)、ワールドビジネスサテライト、他多数。MBA(経営学修士)スタンフォード大学Innovation Master Series修了。[note]
豪華メンバーでのトークセッションテーマは、
「社会問題を解決するビジネスモデルの作り方」。
社会起業家を創出し続け、相互扶助システムなどの仕組みを確立し社会問題を解決し続けるボーダレスジャパンの田口氏。途上国のイメージを変え、対立しがちな社会を融和させるためにビジネスを展開するマザーハウスの山崎氏。
なかなか同時に登壇することが少ない彼らに齋藤氏がまず質問したのは、「お互いどう思ってますか?」という質問。
田口氏は「社会起業家は社会思想家。どういう社会を作りたくて行動しているのか?を意識して実践している数少ない社会思想家の1人。」と山崎氏のことを説明します。山崎氏も、「田口氏は思想を仕組みに変える力がすごく、とても刺激を受けた。それぞれの役割があると考えているので、田口氏の活躍を見て自分の事業を振り返るためのいいきっかけになっている。」と語りました。
これからはローカル地域の時代だと話す山崎氏。コロナがローカルに目を向けさせるチャンスになっていると言います。仲間を持つという観点からも、人材を一定数プールできる県北地域というエリア面積は有効とのことです。
それを踏まえ、起業の心構えとしては「全然違うタイプと組んでいく勇気」であると話しました。
スクールには、いろんな人に会えるというメリットがあります。田口氏も自身が突っ走り、ビジネスパートナーが整理をしていくというタイプだと話します。創業期から2人で起業する人は現実的には少ないとしながらも、ローカルビジネスを進めるには、規模が小さくともノウハウがみんなの資産になり他地域で真似できるモデルになるといいと説明しました。
田口氏が運営するボーダレスアカデミーは、卒業後のコミュニティや起業伴走、無利子無担保融資などに取り組んでいます。宮崎県新富町で起業した農業に関しては、検証サイクルやノウハウ習得に時間はかかったというが、諦めずに何度も課題を乗り越え今では黒字化しているとのことです。
一方、山崎氏が運営する“想いをカタチにする経営ゼミ”で大切にしていることは、社名ともなっている「Warm Heart Cool Head」だと言います。自分の視点だけで物事を見るのではなく、いろんな人の視点を入れていかにブレイクスルーするかが大事だと熱く語りました。
事業は“しんどい”と全員一致で語る講師陣。笑
しかし、そこにやりがいや目的意識・使命感があり、大変なことを楽しんでいると話します。「1人じゃないから続けることができた。仲間がいることがありがたく感じている。」という発言からわかるように、仲間の大切さがとても感じられました。
自身の掲げるゴールはどこかという質問に及ぶと、「社会課題が多すぎてゴールは設定できないが、具体的な目標設定を大切にしている。」という山崎氏。目に見えるタームで責任を持つようにしていると言います。ボーダレスジャパンのゴールについては、「社会課題に対して取り残された人を放置しない社会にすること。まずは日本で原型をつくっている」と紹介し、「課題解決型事業こそ、どういう社会を目指してやるのか?をはっきりさせることが重要で、現実と理想のギャップをどう埋めるのかが大事。」と語りました。
質疑応答
Q起業を決めた瞬間やきっかけは?
山崎氏
―僅かなお金でも可能性が広がるのを目の当たりにし、何かを変えるために必死になって走ることが楽しいと感じたとき。
考えれば考えるほどやらない理由がいくらでも出てくるが、やってよかったなと心から思う。感情に従って飛び込むことが大事。
田口氏
―実体験ではなく、世界の貧困の実態を知って飛び込もうと思った。
規模に関係なく命懸けで考えている人には周りがサポートしてくれる。
万が一潰れてもリトライできる世界なので、リスクを考え直してみるとそこまで恐怖ではないと感じている。
Q人を育てるとき、採用の際に心掛けていることは?
田口氏
―現在は採用には関わっていないが、育成で気をつけていることは小さな成功体験をさせ自信をつけさせる。チョイスするフレームサイズには気をつけている。
山崎氏
―その人が貴重な人生の時間をうちの会社で過ごす価値があるか。仕事の価値と人間的価値の両方を持っているかを大事にしている。育成では自分のことを理解する機会をつくるようにしている。
他では聞けない、貴重な内容が盛りだくさんだったプレ講座。
本講座である茨城県北ビジネススクールは7月31日(土)から開講されます。
https://ibarakikenpoku-businessschool2021.peatix.com/
エントリー〆切は7月18日(日)23:59 です。
志を持った挑戦者・仲間と共に成長できる貴重な機会。ぜひたくさんの人に一歩踏み出してもらえることを期待しています。
応募フォームはこちら。https://forms.gle/fvcGxxNmqnRTywWz8
ライター・撮影:宮地 綾希子