ソトコトや事業構想で注目の茨城!地域で稼ぐ「ローカルベンチャー会議」都内開催
昨年9月から3ヶ月に渡って開催された茨城県北ローカルベンチャースクール。
第5回目のビジネスプランコンテストで受賞者が決定し、「ローカルベンチャー会議」が東京で開催されました。受賞者3名がビジネスピッチとディスカッションを行い、地域で稼ぐことについての議論や交流を行うことが目的です。
しかし、この日集まったのは3名の起業家だけではありません。共に3ヶ月過ごした仲間、そして前年度の受講生たちが集結し、茨城県北コミュニティの強さを感じさせられました。
地域で稼ぐ「茨城ローカルベンチャー会議」
イベントは、「茨城県北を舞台に起業家育成を行ってきました。今年度はコミュニティ形成に力を入れるため、ローカルベンチャースクールという形で開催することにしました。同じ想いを持つ仲間と切磋琢磨し、最終プレゼンでは素晴らしいプランを発表していただきました。」という茨城県庁によるローカルベンチャースクールの説明からスタートしました。
続いて、イベント参加者同士が自己紹介でアイスブレイク。今回の参加者のうち、茨城県出身が全体の1/4程度、さらに茨城県北出身が5人ほどと、想像よりも茨城にゆかりのある方々が多かったのが印象的です。
場が和んだところで、茨城県北ローカルベンチャースクールの総合プロデューサーである齋藤潤一さんから、今までの受講生の学びや地方ビジネスの可能性などについて、説明がありました。
ワクワクをビジネスに落とし込むこと、小さなビジネスでも集合体になれば大きな力を発揮すること、9割の人が行動しないため、地方にはチャンスが溢れていることなど、
受講生にとっては、講座の中で何度も何度も大切に伝えたことをイベント参加者にもお伝えしました。
茨城県北ローカルベンチャーによるプレゼン
今年度のプレゼンで見事に賞を勝ち取った3人のローカルベンチャーがビジネスプランを発表しました。ここでは簡単に、各自が思う社会課題や解決策、最終的にどんな未来像(ビジョン)を目指しているのかを紹介します。
奨励賞 柴田一生さん
職業:高校教師
課題:学校の中だけで教育することに限界を感じている
解決策:8次産業化。実家の酪農をカフェ展開させ、教育コンテンツを加えて空間に付加価値をつける。
ビジョン:持続可能な社会
優秀賞 大川貴世美さん
職業:フィットネスインストラクター・教育トレーナー
課題:少子高齢化が進み、介護の手が足りなくなる
解決策:介護にならない身体作りのコミュニティ作りと、そのコミュニティや地域の健康リーダーの育成
ビジョン:少子高齢化はどの地方にも言えることなので、県北で土台を作り、全国に広めたい。
最優秀賞 小池伸秋さん
職業:民宿オーナー
課題:若者の海離れ
解決策:「イバフォルニアプロジェクト(茨城とカリフォルニアを掛け合わせた造語)」による海辺の価値向上
ビジョン:百年後も人々が豊かに暮らす持続可能なまち(海)をつくる。そして、全国の海辺に同じようなプロジェクトを広めたい。
6分という限られた時間ではありましたが、興味を持ってもらうための情報をしっかりと伝えた起業家たち。このようなプレゼン力も、ローカルベンチャースクールを通して培われたものでしょう。
パネルディスカッション
3人の発表を受けての質問を会場から募り、ディスカッションを行いました。
ーそもそもなぜこの事業をやりたいのでしょうか?
柴田:一次産業は単価が安いものを大量に作るという価格競争が激しい産業ですが、そこから離れるビジネスモデルがあってもいいのではないかと思いました。今のカフェは人が点と点で存在しているだけなので、場所をプロデュースして空間を売り、人が集まるところにしたいのです。
大川:病院に行けば誰かに会える!と、サロン化されている待合室。みんな健康になるために沢山のお薬をもらいに来ます。それに凄い疑問と矛盾を感じていて、それなら健康寿命を伸ばすための手軽な運動をしつつ、お茶を飲みながら話が出来るコミュニティが作れたら、と思いました。
小池:私は東京じゃなくて、みんな地方に行けばいいのに、と思っています。地方の方が魅力的であることを証明するためにも、まずは自分が成功例になろうと思いました。
ー小池さんは現在クラウドファンディングを行っていますが、なぜその方法を選んだのでしょうか?
小池:クラウドファンディングにしたのは、お金のためではなく一緒にやってくれる仲間を集めるためです。地方で頑張っている人がいることを発信することで、いろんな人を巻き込んでいけると思いました。
ー講座の前後で変わったことはありますか?
柴田:もともとは子供たちに起業家精神を与えたいと思い、まずは自分がやってみて、そのノウハウを教えようと思っていました。でも、いろんな人のビジネスモデルを見たり自分と向き合うことで、今の仕事じゃなくてもいい気がしてきました(笑)。
大川:今までは自分1人でやっていくことばかり考えていましたが、できないところは誰かにお願いしようという考えが生まれました。たくさんの仲間と話すことで、凝り固まっていた考えがほぐされました。
小池:私も同じような感じで、1人はしんどいことに気づきました。仲間の大切さを知り、仲間と出会えてよかったです。
想像以上に会場からの質問が多く集まり、時間内に答えられたものは限られてしまいましたが、それくらいたくさんの人が3人の事業に興味を持ったということになります。
ディスカッション後の交流時間には、それぞれに何人もの列ができ、かなりの賑わいでした。
数ヶ月前はこんなに大勢の前で話すことを想像もしていなかった受講生が、ローカルベンチャースクールで学び、仲間をつくり、いまやローカルヒーローとして動き出している。このような流れが茨城県北のみならず全国に広がって行けば、日本はもっと元気になるのではないでしょうか。