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事業を加速し持続可能なモデルに成長させる。 茨城県北ビジネススクール 2021 フォローアップ講座第2回目 茨城県内起業家の情報発信における悩みの解決

茨城県の県北地域から起業家を創出する目的として始まった「茨城県北ローカルベンチャースクール」は、昨年までの3年間で、県北地域を舞台に起業家人材を育成・支援するプログラムとして実績を生んできました。今年度は、より規模の拡大や事業の加速などを目指し、ビジネスを学ぶためのプログラム「茨城県北ビジネススクール」にパワーアップ。

今年度の受講生に留まらず、過去の卒業生も対象となるフォローアップ講座第2回目は、2021年11月7日(日)、茨城県三の丸庁舎にて開催されました。

 

ゲスト:

WithMedia 代表 広報戦略コンサルタント

流郷 綾乃

中小企業の広報として活躍後、フリーランスの広報として独立し、スタートアップ等に対して広報・戦略コンサルティングを提供。 2017年11月、生物資源ベンチャー「ムスカ」の広報戦略を支援し、18年7月に代表取締役に就任。数々のビジネスコンテストにて最優秀者やSDGs賞を受賞し、経産省J-Startup企業に採択。同社の認知度の向上および、資金調達に貢献し、20年11月に退任。現在は複数の企業等のサステナブル推進や広報を支援。

 

講座はまず、参加者同士で「①名前・②今何をしているか・③今の気持ち」をシェアするチェックインからスタート。受講年度を超えた参加者が、地域で活躍する仲間として交流を深めました。

講座中はslido(スライドゥ)という質問を募集するアプリを活用しながら進行。各自スマートフォンで質問をしながらゲストの話に耳を傾けます。

 

「ハエなんてみんな嫌いじゃないですか。」と笑う流郷氏。

昨年まで、イエバエを使って有機廃棄物を資源へと循環させる事業に取り組む株式会社ムスカにて、代表取締役CEOを務めていました。

「軸に決めていることは、自分の子供が80歳になったときに面白いか、面白くないか。」と言います。「衛生害虫であるハエの行いが循環系に則していて、生物循環にものすごくいい影響をもたらしていることに興味を持ち、虫は嫌いだけど循環の仕組みと想いに惚れてジョインした。」と話します。他にもウェブ会社のサステナブル推進事業の広報に関わったり、再利用でき、バイオメタンのクリーン燃料を使用するエコロケットのプロジェクトに取り組むなどたくさんの活動をしています。

 

どこに伝えたいのかでメディアを選ぶ

「広報とは、パブリックリレーション(大衆の方々との関係性の構築)。」と語る流郷氏。

広報経営という言葉を用い、広報と経営のつながりについて説明します。「広報的思考と経営的思考の共通点は社会。広報は、パブリック(社会)との共通点を見つけてきてそれをパブリックと一番近いメディアに伝えるし、経営は社会課題を解決することで共感してもらう。どちらも社会とのつながりがあるから購買になり、社会にどうアクセスしていくかが大事。」広報の在り方について、「メディアとは、ミディアム(真ん中・仲介)が語源で、メディアを利用すると第三者の声で伝えてもらえる。真ん中で伝える人は記者・インフルエンサー・・・など誰にでもなり得るので、どこに伝えたいのかを意識しながらメディアを選んでいく必要がある。」と話します。

また、「情報収集をしないと自己満足の発信。」と話し、“今を知ること”が重要だと言います。「外部環境を知ることで自分たちの動きを考える。この世界の中で自分たちがどのエリアにいて、社会が変化した際にどうポジションを取るか、即座に選ぶことができるように。さらに、内部環境についても知るべき。つまずいたら事業だけでなく自身・自身の周りももう一度調べる。」と続けます。

情報発信には、情報収集も大切。その情報について、流郷氏は次のように分解していきます。「社会・私たち(会社やチームなど)をそれぞれタグ付けする。この作業が共通点の洗い出しになり、タグの重なりを発信に利用する。」

 

その後、受講生同士で2人1組になり、お互いにタグを付け合うワークショップを行いました。職場内や、友人同士など関係性がある中で実施してみると思わぬ発見に繋がりそうです。

 

SDGsは世界に発信可能な共通言語。

流郷氏は、サステナブル推進を積極的に行なっていて、現在の広報はSDGsにフィットした方法のほうが社会に沿うと話します。「SDGsは世界の共通言語。17項目の中から課題をピックアップし、自身の事業と重なる部分を発信する。世界に通用する共通言語が設定されているのだから、それは使った方がいい。」とアドバイスしました。

 

その後は3人1組になって学びのシェアと、齋藤氏(一般財団法人こゆ地域づくり推進機構 代表理事/NPO法人まちづくりGIFT 代表理事/AGRIST株式会社 代表取締役社長)をファシリテーターとし、slidoを用いた質疑応答を行いました。

  1. 広報でペルソナ設定は必要か。

―ペルソナは、刺さる言葉を考えるための1つの思考に過ぎない。必要かどうかは本質的な目的による。情報整理をして、目的と誰に伝えたいのかを理解していれば、あとはどう伝えるかによる。

 

Q.事業の立ち上げ時に一番効果的な広報手段は?

―事業による。SNS・新聞等は無料。プレスリリースを投げ込むことも無料でできる。イベントをつくるというのも手段の一つになり、接点をつくることができる。

 

Q.社会と自分。発信内容のバランスをどう取るか。

―時代がどう動いているか、タイミングによる。また、掛け合わせたときにどう驚きを生むかを考える。広報として、メディアに出て終わりの人が多いが、そのあとどう反応があって、どうSNSに流れるかまで設計する。

自分のデバイス内が社会と思いがちだが、それは自分に最適化した情報しか入って来ない。私と社会のずれをどう捉えるか。色々な経験をすると、自分自身が変わる。でも社会が変わってない場合がある。デバイスを分けるくらい手の中に入る情報はズレていると考えておいた方がいい。

なんと、アロマテラピストがファーストキャリアであるという流郷氏。意味わからないことを10年くらいやっているようにみえるが、自分の中ではきちんと全部繋がっていると言います。

「人生コンテンツ。そう思わなければしんどすぎて生きていけない(笑)。目の前にあることに応える生き方をしていて体調を崩し、そこから選択するときの軸を決めた。」と話します。

最後に、「広報も経営も一緒で、使えるか使えないかで差ができるので、うまく武器にしてほしい。人間は人間にしか興味はないので、なぜその事業をやるのか、きちんと伝えていってほしい。」と受講生へエールを送りました。

広報という観点から事業や経営を考える、とても貴重な講座となりました。たくさんのアドバイスを受け取って、茨城県北地域から今まで以上にワクワクが発信されることを期待しています。

 

ライター・撮影:宮地 綾希子

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