茨城県北ローカルベンチャースクール 第4回フォローアップ 講座

2021年2月22日(月)、茨城県北ローカルベンチャースクール第4回フォローアップ講座が開催されました。

今年度最後となる当講座は、新型コロナウイルス感染症拡大防止対策としてオンラインで開催され、zoom上に約35名、Facebook上でも常時40名以上が視聴したイベントとなりました。

 

ゲストは、食べチョク代表(株式会社ビビッドガーデン代表取締役社長)の秋元里奈さん。

神奈川県相模原市の野菜農家に生まれる。 慶應義塾大学理工学部を卒業した後、2013年に株式会社ディー・エヌ・エーへ新卒入社。webサービスのディレクター、営業チームリーダー、新規事業の立ち上げを経験した後、スマートフォンアプリのマーケティング責任者に就任し合計4部署を経験。 2016年11月に農業分野の課題に直面し株式会社ビビッドガーデンを創業。2017年5月にこだわり生産者が集うオンライン直売所「食べチョク」を立ち上げる。リリース3年で認知度/利用率No.1の生産者特化ECに成長。2019年9月と2020年4月にフジテレビ系列「セブンルール」に出演。2020年4月にアジアを代表する30歳未満の30人「Forbes 30 Under 30 Asia」に選出。2020年9月よりTBSのニュース番組「Nスタ」の水曜レギュラーコメンテーター。オンオフ問わず365日24時間着ている「食べチョクTシャツ」がトレードマーク。
食べチョクHP:https://www.tabechoku.com/?ref=corp

 

今回のテーマは「ピンチをチャンスに!食べチョク秋元氏と語る地域課題解決型のビジネスモデル構築術」。

最初に、茨城県県北振興局より茨城県北地域とローカルベンチャースクールを紹介。

その後、前半は秋元氏と齋藤潤一氏(一般社団法人こゆ地域づくり推進機構(以下こゆ財団)代表理事)のトークセッション形式で進められました。

 

熱い想いとは裏腹に、常に冷静に自分を見る

秋元氏と齋藤氏がそれぞれ自己紹介をした後、「課題解決する上で大事にしていること」について話が始まりました。

秋元氏は、「思いが強すぎてビジネス観点が置き去りになってしまうケースがよくあるので、一歩引いて冷静な目で自分を見るよう意識している。」と説明。齋藤氏から、そのクールヘッドホットハートのバランスの取り方はどうしているのかと問われると、

「めちゃくちゃネガティブな性格ということもあるが、なるべく外部からのインプットを大事にするようにしている。」と話し、「アドバイスに従う必要はないが、相手がどういう感情で私の話を聞いているかなどを感じとる。ベンチャーキャピタルの方とディスカッションするなど、自分とは一歩外の環境にいる、辛辣なアドバイスをくれる人に会いにいく。」と補足しました。

 

Tシャツは覚悟力

2021年2月18日に、「365日 #Tシャツ起業家 「食べチョク」で食を豊かにする農家の娘」という本を出版したばかりの秋元さん。齋藤氏はこのタイトルに触れ、「Tシャツにフォーカスしていることが面白いなと思ってて。Tシャツを覚悟力とリフレーミングしている記事があったが、まさにそうだなと思った。」と話し、秋元氏も「最初はそういう狙いではなかったが、何もない中でどう覚悟を示すか、信じてもらえるかが大事」と続けた。

そして、「よくブレイクスルーしたタイミングを問われることはあるが実感はなく、地道な努力を続けた結果」であると話し、齋藤氏も「共感力は必ず伝わるから、甘くみてはいけない。」と語りました。齋藤氏は秋元氏の行動力を称賛し、「99%失敗してもチャレンジしていくことで道は開けていく」ということを視聴者に再度伝えました。

「自分の現状と作りたい世界を接続させることが大事かと思うが、秋元さんにとってそれは難しくなかったのか?」という齋藤氏からの問いに対して、秋元氏は「それは難しくはなかった。創業期の体験は貴重で、全部1人でやらなくてはならない。細かいことの大事さはこの時学んだので、仕事の大小でモチベーションは下がらない。全部が事業の一歩に繋がっていると感じられるので。」と回答し、「どこまでプロダクトに愛を持っているか、どんな規模になっても変わらない愛があるかが重要だ」と話しました。

 

やってみないとわからない

秋元氏は、365日、毎日食べチョクと書かれたTシャツを着続けた結果、自分の持つ覚悟はTシャツを着る前と変わっていないのに本気度を疑われることがなくなり、熱意を説明するための時間が短縮されたとのことです。齋藤氏も、「無駄だからやりたくない、自分とは関係ないからやらないという人が多いが、無駄だと言えることは何ひとつないのではないか」と話しました。

「あるときベンチャーキャピタルの方に、君は言ったこと全部やるねと言われたことがある。今すぐできることはとりあえず全部やる、やってみないとわからない。やってみて新しいアイデアが見つかることもある。来月お金がなくなると思ったらやらなくてはならない。」と秋元氏も語りました。

 

一番大事なことは“素直さ”

視聴者から寄せられた質問として、「自分のやりたいことと市場との摩擦や葛藤について、どう向き合っているのか」という議題が寄せられました。秋元氏は、「創業時は99%うまくいかないと言われていたが、“なんでそう思うのか”ということを徹底的に聞き、否定する理由を並べて参考になるものは全て潰していった。むしろ否定的な意見がチェックリストになり、自分の事業にポジティブに働く」と述べました。

それを聞いた齋藤氏は、「問題解決で一番大事なことは“素直さ”なのかもしれない。」と話し、「摩擦は反発するから生まれる。けど、秋元さんは一回受け入れるから摩擦が生まれない」と続けました。

「否定され続けて落ち込まないのか?」という問いに対して秋元氏は、「最初はめちゃくちゃ凹んでいた。しかし、100回も繰り返すと慣れていき、何でそう思うんだろうと興味に変わっていく。“事業=自分の人格”と思っていると自分が否定された気分になるのでショックを受けていたが、メタ認知ができるように変わってきて受け止め方が変わった」と回答しました。

さらに、「面白さを見つけることが得意」という秋元氏。SNSはまず全部やってみて相性の良いものを使い続けると言い、効果があるものを探りながら自分が楽しめるものを見つけると言います。自分が何でテンションが上がるのか?という自身の特徴を知っておくと良いということです。

 

ここで折れたらフレディじゃない

ロックバンドQueenのファンだという秋元氏。自分の持っていないものを持っている人に憧れると言い、「ショックを受けた時には、なぜ傷ついているのかという感情を受け入れた上で、“ここで折れたらフレディ(Queenボーカル)じゃない”と自身にフレディを召喚させる」と話します。

齋藤氏も「その瞬間ごとに尊敬する人はどう考えるか考えることで、状況を俯瞰して見れる」と共感し、科学的にもポジティブに生きた方が幸せになれるし豊かにもなれるし、心配事は起きないというポジティブサイコロジーを紹介しました。

“当初は全てを試していたとしても、現段階では狙い撃ちもあるのか?”という質問に対しては、「やらないことは決めているが、ひとまず一回やってみる。違うなと思ったらすぐ辞める。すでに似たことを経験していて結果が見えていること以外は、全てまずやってみている。」と秋元氏は回答し、「狙っても当たらないし、当たる訳が無い。ロジカルに考えるより、何がしたいか?ワクワクしているかという気持ち、熱量を伝播していくことが大事」と齋藤氏も続けました。

 

自分が自分の1番のファンでいる

トークセッションの最後に、“スモールビジネスで戦っていく上で大事になるポイントは?”

という質問を投げかけると、秋元氏は「スピードと小回り」、齋藤氏は「一番は楽しむこと。熱狂することが重要」と回答し、「秋元氏は、熱狂を飛び越えて天命を全うしてるようにさえ感じる。本気で楽しんでいる奴には絶対勝てないし、“あなたから買いたい”というファンを何人増やせるか、そして常に自分が自分の1番のファンでいることができるかが大事」と視聴者に熱いメッセージが送られました。

 

トークセッションの後は、2020年度の茨城県北ローカルベンチャースクール卒業生代表者によるビジネスプレゼン。彼らは、2020年11月14日に茨城県庁にて開催された当スクールにおいてプレゼンを行い、入賞した3人です。

 

まず初めに発表したのは、星野由季菜さん。

彼女は地元である茨城県常陸大宮市のお祭り、西塩子の回り舞台をきっかけに、「結~ふるさとのお祭り応援ファンクラブ~」 というビジネスプランを発表しました。受講後の変化として、現在キャリアチェンジを決意し、常陸大宮市の地域おこし協力隊となり、現職を活かし地元の食の応援やオマツリジャパンと連携するなど、自身の“好き”を凝縮した「結いまる合同会社」を設立することを紹介。

 

続いて、阿部深雪さんの発表は、「banya base」です。

こちらはかつて自身の実家であった空き家を、外に開いて新たな価値を見出し、活かしていこうというプロジェクト。12月には鯨ヶ丘商店街のイベントである12月倉に写真展とコーヒースタンドを出展。クラフト製作やクラウドファンディングとのコラボレーション、ワークショップ開催など、動き出していることを発表しました。今後の展開として、banya baseの整備を進め、眺めの良い景色を残していきたいと強いメッセージを届けました。

 

最後に発表したのは、井出光弘さん。

彼は「楽しみながら森つくり」というプレゼンを行い、農業を通して自然栽培という栽培方法に出会い、森の重要さに気づき、人工林と広葉樹の混成林をつくるべく動いています。間伐材を利用したプロダクトの紹介や、クラウドファンディングに挑戦して見事達成したこと、ボーイスカウトと連携した森林学習など、意欲的に活動を続けていることを紹介しました。

 

3人のプレゼンへの感想、フィードバックとして、秋元氏からは以下の言葉が送られました。

 

星野さんへ:星野さんだからこそできる関わり方だと思う。やれることがいっぱい出てきそうなので、取捨選択が今後の課題となりそう。(他の取り組みとの)掛け合わせを上手にすることで、面白いことができそうだなと感じた。

 

阿部さんへ:自分だけが持っているストーリーがとても素敵。そのストーリーは何回話せば話すほど研ぎ澄まされていくので、これからもストーリーを話すことを大切にしてほしい。

 

井出さんへ:どの地域でも問題となっている課題分野。広く応用できる取り組みだからこそ転用が可能で、発展性があると感じた。

 

◆フィードバックに対する登壇者からの質疑

 

―取捨選択がまさに課題。秋元氏はこれだけは大事という軸はあるのか?

やってみるということがまず大事だが、半年〜1年後はきっとどれか一つに絞られていくのではないか。自身が良いなと思ったことにフルで時間を割いた方が良いので、最初から取捨選択する前提で向き合った方がいい。相手との期待値コントロールをして、環境を整えておく。最初は全部やってみて、結果、相乗効果を生むものもありうる。

 

―コストをかけることにより覚悟を実感してくるが、今やっている仕事との折り合いに悩んでいる。秋元氏はどのタイミングで一歩を踏み出したのか?

退路を絶った。チャレンジした人が評価される世の中だと感じる。失敗しても、自分の経験が次につながるように意識した。チャレンジする人が少ないので、チャレンジした経験は価値になる。また、怖いことをリスト化し深堀りすると、チャレンジした方がトータル的にポジティブだと感じられることもある。細かく書き出してみると整理されるので、まずは書き出してみるといい。

 

―自分1人でやっている時は怖くなかったが、他人を巻き込むことによって失敗できない怖さが出てきた。(人と関わることで生まれる)資金面の課題について、どのように取り組んできたのか教えて欲しい。

初めて人を雇った時にプレッシャーが一気に大きくなった。当初はずっと1人で経営していて、事業がダメになっても、いざサラリーマンとなれば1年で返せる分の融資をいただいた。

今でも社員を雇う怖さは変わらないが、あまり抱えすぎるとストレスになるので事業のことだけを考えるよう意識している。事業がうまくいっていれば関わってくれている人も幸せなはずと考えている。

 

最後にプレゼン登壇者の3人からこれからの抱負として、ワクワクを爆発させて地元を盛り上げたい、やり続けることを大切にし、1年後違う世界を見てみたい、事業が4月から本格始動するのでぜひ参加して応援してほしいと語られ、秋元氏からは「スタート地点はみんな一緒。私も4年間死に物狂いでやってきて今に至る。持続可能な状態で居続けることが大事。人は辛い時、たいてい足元を見てしまうので、辛くなったら遠くに視点を飛ばしてほしい。目先の問題ごとだけでなく、それを超えた先をみることができるようになる。私も意識して2・3年後を妄想して走っているので、皆さんも頑張ってほしい。」とエールが送られました。

8月の本講座から約半年間、たくさんの気づきや挑戦を生み出してきた茨城県北ローカルベンチャースクール2020。

当講座はこれで最終講座となるが、参加者の熱い思いや挑戦はこれからも加速していくことと思います。

彼らによってこれからの県北地域がより魅力的で面白い場所になることは間違いなく、今後もたくさんの方々に応援していただきたいと心より願っています。

 

 

ライター:宮地 綾希子

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