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ぼくらは地方で幸せを見つける (ソトコト流ローカル再生論)編集長 指出氏が語るローカルベンチャーの未来

ソトコト指出氏

都会での暮らしや働き方に疑問を持ち、地方でチャレンジしたいという人は多いが、資金調達やコミュニティの形成にハードルを感じて二の足を踏んでいる人もまた多いのではないでしょうか。

2019年10月17日(木)に渋谷Hikarieにて、茨城県主催の茨城県北ローカルベンチャーラボを開催。ゲスト講師のトークイベントが行われた。

茨城県北ローカルベンチャーラボは、茨城県の地域おこし協力隊の制度を活用し、茨城県と地元自治体のバックアップ体制のもと、現地の地域コーディネーターとして仕事をしながら、起業に向けての活動を行うものです。

今回は、人口減少と少子高齢化、担い手不足などのさまざまな地域課題を抱えている茨城県北の日立市・大子町にて、活動する地域プロデューサー(起業型地域おこし協力隊)についての説明がなされ、2部に分けて様々なゲストが移住起業のリアルについて語りあった。

第1部は、月刊『ソトコト』の編集長である指出一正さん

茨城県北ローカルベンチャーラボ事業の受託事業者である、NPO法人まちづくり GIFTの代表理事 齋藤潤一とともにトークセッションを展開した。

指出氏はメディア運営をしながら、エキシビジョンの総合監修や、地方の関係人口を増やすための講座の監修などにも携わっている。

そんな二人の、地方起業で成功する人の共通認識が「ド素人」。

齋藤氏は、「移住起業の場合、経験やスキルがある人が従来型のビジネスを作っても上手くいかない。未経験で全く知らない分野の仕事だとしても、ハングリーに取り組む姿勢が大事。先入観を持たずに飛び込んだ方が、街のコミュニティにも入り込める。」と語った。

何も知らないまま外から入ってきた人の方が、地元の人が見つけられなかった街の魅力を発見でき、ビジネスにもつながるという。

起業で気になるにお金(事業資金)ついては、クラウドファンディングの活用を提案。現在、地域ビジネスは注目されており、またクラウドファンディング企業が信用金庫や地方銀行と協定を結び始めている点もあって、資金が集まりやすくなっているという。

さらに二人は、今回の茨城県北ローカルベンチャーラボは「地域おこし協力隊」の制度を活用していることを評価。齋藤氏は「ベーシックインカムがありながら、新しいことにチャレンジできる制度は本当にお得」と話していた。

 

また、事業を考える上で大切なことについては「やりたいことを真ん中に置くこと」だという。

指出氏は「今は情報過多で、色々な要素に振り回され、好きなことができていない人も多いが、仕事をする上では真ん中を自分の好きなことにしておくことが大切。好きなことだから辛いことも苦にならない」と話す。

そして、「二人が茨城で起業するなら?」という話に。

指出氏は「日立市なら飲食店。大子町なら釣具屋をやる。」という。

「日立市は吉祥寺のような企業城下町の雰囲気がある。外食の文化もあるし、日帰り出張で来る人も多いので、飲食店がいいのではないか。大子町なら、自然を堪能しにくる人が、その街にお金を落とせるよう、世界で最高の釣り具を揃えた店を開いて、店に来るだけでも価値のある場所にできる。」

一方齋藤氏は「日立市でも大子町でも宿!」と話す。「1階をバー、2階から上をゲストハウスにする。今はビジネスホテルのような宿は人気がない。日世界に目を向けてインバウンドにも人気になるような宿にする。それに日立市なら、ローマ字にするとHITACHIという世界的メーカーになるので、海外向けプロモーションもしやすい」。

指出氏は、日立市で事業をするなら「名前は『ハイタッチ(HIGH TOUCH)』にする」という話も。「HITACHIの製品は、世界でハイタッチと呼ばれているから」と、より具体的な提案も出された。

トークセッションの最後に指出氏は「新しいことを始めるのに年齢は関係ない。30代でも、40代でも、50代でも、必ずどこかで、それまでの経験が活かされる時もある。今はライフステージを経て、やりたいことが変わっていくのが当たり前の時代になっている。」と参加者の気持ちを後押しした。

続いての第2部では、実際に茨城で起業した人たちのトークセッションが行われた。

 

地元の日立市でコーヒーロースターを行なっているTadaima Coffee 代表の和田昴憲氏。

茨城に縁のある女性のロールモデルを伝えるフリーペーパー『茨女(いばじょ)』の編集長も務め、東京と水戸を行き来しながら仕事をする、株式会社MIITO CREATIVE 代表取締役社長/デザイナーの川井真裕美氏。

学生向けインターン事業を中心に若者の人材育成と地域の中小企業の経営革新を行う、株式会社えぽっく代表取締役社長の若松佑樹氏。

 

「なぜ起業したのか?」

和田氏:「子供の頃からお店を持ちたかった。あとは食べ物を食べるのも作るのも好きだった。」

川井氏:「地元の茨城が好きだった。もともとデザインの仕事をしていて、茨城の女性のロールモデルに興味があったので、茨城・女性・デザインという、自分の背景を組み合わせてできたのが『茨女』だった。」

若松氏:「もともと実験が好きで、研究者になりたかった。社会に対して、『こういうことをしたらどんなことが起きるか』を見るのが好きだった。地域に何かをアクションを起こす時に、インターンシップや副業が最適な手段ではないかと思った。」と語った。

ジャンルは全く違うものの、好きなことを仕事にしている3人。

 

「好きなことが見つからない人も多い中、好きなことを見つけるためには?」

和田氏:「子供の頃からやっていた動詞(行動)に注目すること。名詞(物)ではなく、動詞に自然と好きが表れている」。

川井氏:「渋谷のIT系会社で働いている時にノマドワーカーやクラウドファンディングが流行っていた。ちょうどその時、茨城にいる祖母が体調を崩し、Uターンを考えたところ、様々な点が線でつながって今に至った」。

若松氏:「植物を研究していたが、環境問題にはビジネスが大事だと思った。僕の原点は地元の川で遊んでいたこと。あとはマンガのカイジで『若者は掴みにいくべきだ。』と書いてあったのに刺激を受けて、色々なビジネスを経て起業した。」

幼少期の原体験や育った環境、そして社会人としての経験から「自分の好き」を見つけていったようだ。

イベントの最後に、斎藤氏は「やりたいことをやっていくことが大切。茨城を中心に地方にはチャンスがあるので、こういう機会に様々な人と繋がって、チャンスを活かして欲しい」、指出氏は「茨城県北のコミュニティは本当にいい!そのままの仲良い雰囲気の中でビジネスにも取り組んでほしい」とメッセージを送った。

茨城県北ローカルベンチャーラボの地域おこし協力隊は10月31日まで募集。

自分の夢を叶えながら、地域課題に貢献したい人は、ぜひ応募しよう。

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