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デザイン思考で、地域課題を解決するー茨城県北ローカルベンチャースクール(第2回)

起業までの発想を実践的に学んでいく『茨城県北ローカルベンチャースクール』。第2回目となる今回は、茨城県大子町で1泊2日のフィールドワークが行われました。

第1回目から2週間後の開催となった今回の講座。参加者の緊張がみられた前回講座前の雰囲気とは打って変わり、2回目が始まる前はかなりの盛り上がりをみせていました。話題はそれぞれの近況報告かと思いきや、今回の舞台である大子町について。常陸大子駅を降り立って感じた駅前の雰囲気、大子町で食べた昼食、フィールドワークで回るスポットの下調べ情報などを共有し、会場は参加者のやる気と熱気に満ち溢れていました。

この2日間は、前回教わった“発見→磨く→発信”のうち“発見→磨く”の実践として、チームごとにビジネスプランを構築しました。プラン構築にあたって重要なことを教えてくれるのは、講師の高橋慶彦さん。現在3つの会社を経営する高橋さんは、「必要なノウハウは出し惜しみなくすべて教えます。」と話すなど、これから起業する人にとってはとても心強い存在です。

町の魅力・課題を発見する

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今は、調べればほとんどの情報が手に入る時代ですが、一方で「どこに何があるか」などは表面的な情報であることも多いもの。だからこそ現地に行って町を歩き、自分なりにその町を感じることで、地域の本当の姿が見えてきます。実際に駅周辺を歩いてみると、

大子町は観光のイメージがありましたが、地元に根ざしたお店が結構多いことが分かりました。

と、イメージと実際の姿が違うことに気づいた人もいました。しかし、ただ観光気分で町を巡っているだけでは、なかなか魅力や課題を発見できません。それらを発見しようという意識をもち、発見しやすくする環境を用意することも重要です。この2つのポイントについて、詳しくご紹介します。

1.発見する意識:どんどん質問をする

ふらっと入った店や見学先の人には、積極的に質問をすることが発見への近道となります。質問に対する答えが得られるだけでも収穫ですが、話の中にはそれに付随した情報が含まれているはずです。「なぜ」と感じることには多少なりとも自分の興味関心があるため、その地域を自分ごと化する上でも質問は有効でしょう。

たとえば、仲野リンゴ園では、

夜にリンゴ園のライトアップを企画したこともありましたが、農家がわざわざやるには苦労が多く、継続性も見込めませんでした。

という農家さんのリアルな声から、ビジネスの可能性を見出していました。どんどん質問をして、自分のワクワクとマッチするリアルな課題を探していきます。

2.発見しやすくする環境:現地の人に案内してもらう

 width=その地域に精通している人に案内をしてもらうことで、自分たちだけで回っていたら気づかないようなポイントを教えてもらえたりします。たとえばこの建物は、1人で歩いていたら素通りしそうですが、実は大子で有名な漆塗りの建物だったのです。外から見た町の魅力と中から見た町の魅力は異なります。現地の人の案内は、外からの視点と中からの視点で地域を見るにあたってとても役立ちます。

さらに、1つ目のポイントとも関連して、一緒に見て回ることで都度質問を投げかけることもでき、有意義な時間を過ごすことにもつながります。案内してくれる人にとっても外からの視点は新鮮であり、質問を投げかけることでお互いに地域への理解が深まることとなるのです。

ビジネスプランのタネをつくる

町巡りを終えたら、自分なりに発見した町の魅力と課題をみんなで共有します。1日同じ場所をめぐっていたにも関わらず、発見したことは人それぞれ。「自分とは違った見方をしている人がいて、視野が広がった」という人が多くいました。

町巡りの途中、高橋さんはビジネス構築のポイントについて語ります。

他人の意見を聞くことはとても重要です。自分では当たり前と思っていたことも、他の人とっては当たり前でないことがあります。お金を払ってまで自分のサービスを使ってもらう価値はどこにあるのかを考えるときも、外の意見が参考になります。

他人の意見で自分の考えがブラッシュアップされ、言葉にならなかったモヤモヤした思いが言語化できるようになることも。インプットとアウトプットをうまく掛け合わせる練習になりました。

ミッションとビジョンを掘り下げる

前回の講座では、“自分が何をしている人なのか”を最初に提示することが重要であると教わりました。それを踏まえ、具体的なプラン構築の前にミッションとビジョンを考えることに。高橋さんは、

なぜ、自分がそれをやるのか。それをやることで地域がどのように変わるのかを考え続けることは、起業家にとって絶対に必要なことです。途中でくじけそうになったとき、これらがはっきりしていると自らの支えになります。

自分の軸を明確にするメリットを強調しました。茨城県北にはビジネスの可能性がたくさん眠っています。やれること、そして『やりたいこと』への切り口が多くあるからこそ、自分の軸をしっかり持ってプランを構築しなければなりません。

具体的なプランづくりの練習は、次の日のお楽しみ。1日目の締めは懇親会です。もちろんただ食べるだけの場ではありません。この講座には、ソーシャルビジネス創出に熱い思いをもった人たちのコミュニティづくりという目的もあります。仕事の話だけでなく、相手をより深く知ることで互いの仲を深める場とすることができました。

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