起業家の関係人口が増える茨城県北。弱いつながりが効果あり
9月1日、2018年度茨城県北ローカルベンチャースクール第1回講座「1勝99敗 -地域ビジネスのつくりかた-」が、水戸市のコワーキングスペースWagtailにて開催され、茨城県北地域からはもちろん、遠くは横浜市や川崎市からも受講者が参加しました。
講師は、地域プロデューサーの齋藤潤一さん。また、地元起業家・メンターとして、茨城県北ビジネスプランコンペティション2016で優秀賞を受賞したTadaima Coffeeの和田昂憲さん、同コンペティション2017で優秀賞を受賞した建築楽団の加藤雅史さんも登壇しました。
「1勝99敗 -地域ビジネスのつくりかた-」というテーマのもと、座学とワークをおりまぜながら「きちんとお金を稼ぎ、持続可能なビジネスをつくるにはどうすればいいのか?」ということを学んでいきました。
茨城県北で地域ビジネスを生み出す
参加した受講者は、「新たな思考を手に入れたい」「カフェ開業に向けて勉強中」「新規事業をつくりたい」など、さまざまな想いをもった約20名。
日立市、北茨城市、高萩市、つくば市、つくばみらい市、そして県外から、年齢も考え方も様々な多様性のあるメンバーが集いました。ほぼ初対面同士でしたが、名刺交換やグループワークを通じ、あっという間に打ち解けていました。
座学とワークで発見する、地域ビジネスで大切なこと
第1回講座のなかでは、座学を挟みながら主に4種類のワークを実施。齋藤さんが示すマインドやハウツーを意識しながら、受講者たちは高い熱量で取り組んでいました。以下、実施された4種類のワークとその様子をご紹介します。
1:ワンチャンで相手を掴む自己紹介
最初に行ったワークは、自己紹介。ここでは、「呼ばれたい名前」「どこから来たか」「いま取り組んでいること」「この講座に期待すること」の四つに加えて、五つ目に「自分を表すキーワード」を紹介。
自己紹介しても、相手は自分のことをほとんど覚えていない。だから、自分にキーワードをつけて、相手をワンチャンで掴む。
自分のミッションは何ですか?と言われたら答えられるようにしておくのも重要。また、自分のフィロソフィーを自己紹介に入れると、より親近感がわいてきます。
(齋藤さん)
一生懸命自己紹介しても、相手は自分のことをほとんど覚えていてくれない。だからこそ、限られた時間の中で印象に残るキーワードをしっかりと相手に伝える必要があると、齋藤さんは伝えてくれました。
2:「ワクワク」と「地域課題」
地域ビジネスを産み出すために必要なのは、「ワクワク」と「地域課題」を組み合わせること。
ワクワクとは、指示されなくても自然に動き出しちゃうこと。
地域課題を考える際、現場で起きている目に見えない課題、お客さんすらも気づいていないことも重要。
(齋藤さん)
受講者たちは、自分が思うワクワクと地域課題をとにかく書き出していきました。大きくはっきりと書く人、詳しく書く人、図にする人など様々。
あきらめない限り失敗は無い。そんな時に大切にしてほしいのは、皆さんが「本気でやりたいこと」
(齋藤さん)
「ワクワク」と「地域課題」は重要な要素ですが、実際に事業として進めるときに、二つを並列的に進めていくのは意外と難しいと言います。そこで、「ワクワク」を意識する活動と「地域課題」を意識する活動を行ったり来たりすることも大切だと伝えてくれました。
3:相手を口説き落とすストーリーテリング
受講者が書き出した「ワクワクと地域課題」を、二人一組になって2分間で相手に語る、というストーリーテリングのワークも行いました。
片方が発表している間は、聞き手はしゃべらず、ただ頷くのみ。発表者は、途中でネタ切れになっても、それでも深堀して話し続ける。受講者たちそれぞれが思いの丈を発表しあう、熱気を感じる時間でした。
一瞬で相手を口説き落とせる、ということはとても重要。
(齋藤さん)
ワークを終えた後、「相手の話を黙って聞くのは意外と難しかった」「しゃべっているうちに、色々なことを思い出した」「決められた時間内に言いたいことを言うのは難しい」という感想が受講生から出ていました。
4:チームビルディング
最後は、「自分が本当に地域の課題だと思うもの」を紙に書いて、それを元に今後の講座で行動を共にするためのチームを結成。「相手の紙に書かれた課題だけを見て、一言も声を出さずにチームを作る」という手法で行われました。
受講生は、楽しそうに地域課題を見せ合い、無事に4チームが完成。ここで結成されたチームで、2回目以降の講座にも取り組んでいきます。
講師・メンターに聞く、地域ビジネスで大切なこと

メンターの加藤さん(左)・和田さんと齋藤さんがディスカッション
講座では、受講生から加藤さん・和田さん・齋藤さんへの質問タイムもありました。その中からいくつかご紹介します。
− 仲間を増やしたいときは、どうすれば良いですか?
加藤さん 自分のキャラだけで人を集めるのではなく、「自分は結局何をしたいのか」「自分の理念は何か」を明確にしておくことが重要だと思います。
和田さん 今やっていることを暑苦しくブログで発信しています。そこでご縁が生まれる。「自分は何故それをやっているのか」がキーになると思います。
齋藤さん ビジョン・ミッションはやっぱり重要。この二つに共感せずに離れていく人は、持続可能ではないので離れていっても良いんです。
− 事業を進める中で不安になったときは、どのように自分を取り戻していましたか?
加藤さん ローカルベンチャースクールのような場は一回だけでなく何度か行って、人と話すようにしています。そうすることで、自分を振り返ることができます。
和田さん 自分で事業するようになると、人生が全部ネタみたいになります。今しんどくても、しゃべったら後々面白いんだろうなと考えています。僕は、20代で起業しました。仮に失敗しても、長期的にはこの経験はいきるだろうと思っているので、失敗は怖くないです。
齋藤さん この講座のようなコミュニティを大切にしてほしい。お互いに学ぶことがあるし、失敗したときに帰ってくる場所、もう一度整理する場所にもなりえます。また、自分の立ち位置を確認する機会にもなります。
− 大切にしていることとを教えてください。
加藤さん 大切にしているのは理念。そこでどれだけ共感してもらえるか。それを大切にしたいと思います。
和田さん どこにお金を使うか、どこに時間を使うか、どんな人と会うかなどを大切に考えています。
齋藤さん 自分が地域プロデューサーとして大切にしているのは、役割。自分の役割を意識することで、足りないところが見えてきます。
茨城県北ローカルベンチャースクール受講生の声
【北茨城市在住・兼業イラストレーター】サラリーマンは「失敗はダメ」と言われるけど、起業のなかでは「小さな失敗の積み重ねが大切」となる、ということを知って、考え方が全然違うと感じました。
【横浜市在住・学生/ライター】和田さんがおっしゃっていた「自分の失敗は全部人生のネタになる」という言葉が印象に残りました。
【日立市在住・カイロプラクター】齋藤さんの「地域ビジネスには、笑顔とお金の両方が必要」という言葉に共感しました。自分のワクワクと地域課題を行ったり来たりしながら、地域ビジネスを考えていきたいです。
次回の茨城県北ローカルベンチャースクールは、「地域資源視察・チームビルディング」がテーマ。茨城県大子町の「daigo front」を中心に、一泊二日のフィールドワークを実施されます。高いモチベーションを持つ受講生のみなさんが、どのような発見をされるのか期待です。