茨城県北ローカルベンチャースクール 第1回フォローアップ 講座

2020年9月27日(日)、日立市多賀町にある「晴耕雨読―マイクロクリエイションオフィスー」にて、茨城県北ローカルベンチャースクールの卒業生を対象としたフォローアップ 講座が行われました。

当スクールは2018年より続いており、卒業生の中にはすでに起業して地域に活力を与えている人がたくさんいます。フォローアップ 講座は、自走する仲間の直面している課題・悩みを共有するなど、さらなる前進を後押しするために開催されています。

 

今年度第1回目となるフォローアップ 講座の講師は但馬武氏。

パタゴニア日本支社にてダイレクトマーケティング部門統括を中心に19年勤務。2017年より地域活性化を展開するエーゼロ株式会社に役員として参画後に、2018年に愛される企業「LOVABLE COMPANY」のためのブランド戦略を構築するfascinate株式会社を創業。 立教大学21世紀社会デザイン研究科研究員。長野県立大学ソーシャルイノベーション創出センターアドバイザー。京都市ソーシャルイノベーション研修所フェロー。

 

まずは但馬氏のビジネス内容を紹介し、チェックインからスタート。3人1組となり、「名前・今の気持ち・今日聞きたいこと」を共有しました。

その後は受講生から、次のような今抱えている課題を発表。

・事業内容を整理したい

・ワクワクするコンテンツを考えたい

・やることが増えてきてしまい手放したい

・組織の立ち上げ方を学びたい

・Withコロナについて

・学問との両立

・事業継承について

・自分との向き合い方

など、多岐に渡りました。

持続不可能だった他人に沿った生き方

但馬氏は、生き方をサーフィンに例えます。

「直前の波には乗れないし、構えていても全ての波には乗れません。大事なことは、板を持って海に行く行為です。それがなければ永遠に波に乗ることはありません。自分らしくあればいつか波に乗れます。乗れなくても浸かっていればいい。下限はあるけど、構えない。それくらいのムードで生きていると良い波が来ます。」さらに、「無茶をした時、命に沿った生き方ができていない時、周囲と衝突したり、トラブルになったり、風邪を引きやすくなったりしました。他人の期待に沿った生き方でもがき苦しみ、持続可能ではありませんでした。」と話し、ハーフであるという環境による後天的な原体験にとらわれていた過去を明かし、「自分の命の意味は原体験に惑わされない方が良い」と続けました。

 

自分の人生を生きられていない感覚。

自分自身がなんのために生きているのか。

ずっと手にしていたものを手放すことが怖い・・・

 

承認欲求ばかりが強かった自分。周りに応えようと自身を偽る自分。

数年前まで、そういった思いに悩み苦しんだそうです。

 

寺田本家の酒造り

 

酒蔵にとっては大敵と言われがちな火落ち菌を、寺田本家では上手に利用しています。日落火落ち菌があることにより他の菌が強くなったり、結果として全体的な底上げに繋がるというものです。

但馬氏はそれを企業でも同じことが言えるのではと紹介します。企業において、ネガティブなことを言う人を排除しすぎるとうまくいかなくなるので、腐敗菌も企業の向上には大事な要素であるということです。

最愛ブランドの切り口は、企業文化・商品・ファンベースであると但馬氏は言います。寺田本家の事業展開の歴史を紹介し、具体例を上げながら説明しました。

 

その後、ここまでの内容から自身の課題につながりそうなものをグループで共有しました。

但馬氏は、その際に「弱さにじっくり向き合ってほしい。「・・・したい」ではなく「・・・に困っている」でいい。」と伝え、それぞれが自身の課題・弱さと向き合い、認める時間が設けられました。

その後、①事業継承に際しニューパラダイムを迎える自身の温度感や、②家庭と仕事など、時間の使い方について、③利益の還元が見込めないことやドリームキラーへの対処などファンビジネスについて、④自身の内省と、受講生から共有された課題を大きく4つにわけ、再度グループで共有し言語化する時間が設けられました。

この、自身と向き合いありのままを曝け出す時間は、試行錯誤しもがき苦しみながら前を向く受講生達にとって、貴重でかけがえのない時間となったのではないでしょうか。

また、かつて一緒にスクールを通じて切磋琢磨した仲間との共有は、より背中を押してくれるものだったように感じます。

講座が終了した時の受験生の表情は、朝の顔とは全然違う清々しいものでした。

 

フォローアップ 講座は、次回11月・12月と続きます。

 

 

ライター・撮影:宮地 綾希子

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